🐶「ハアハア音が大きい…声も変わった?」
喉頭麻痺・喉頭虚脱(こうとうまひ・きょだつ)について
こんにちは、ガレン動物病院です。
「最近、呼吸の音が大きくなってきた」
「散歩中にゼーゼーして途中で止まるようになった」
「以前より声がかすれて、吠えにくそう…」
そんな時に疑われるのが、**喉頭麻痺(こうとうまひ)や喉頭虚脱(こうとうきょだつ)**という呼吸器の病気です。
🫁 喉頭麻痺・喉頭虚脱とは?
喉頭(こうとう)は、喉にある空気の通り道=気道の“入り口”のような構造です。
通常、息を吸うときには喉頭が開いて空気を通し、吐くときには閉じて声帯を使って声を出します。
しかし、喉頭麻痺ではその機能が失われ、喉の入り口がうまく開かず、空気が通りにくくなります。
📌 進行すると喉頭がつぶれてしまう“喉頭虚脱”となり、呼吸困難・失神・突然死のリスクもあります。
🐶 どんな子に多い?
-
**中高齢の大型犬(ラブラドール、ゴールデン、ハスキーなど)**に多く見られます
-
特に8歳以上のオス犬で好発
-
小型犬や猫ではまれですが、起こることもあります
-
甲状腺機能低下症や神経疾患が背景にあることも
📌 よくある症状
-
ハアハアする呼吸音が大きく・ガーガーと響く
-
声がかすれてきた/吠えにくそう
-
運動後にすぐ疲れる/止まってしまう
-
暑さに弱く、熱中症になりやすい
-
散歩中や興奮時に失神する・倒れる
-
呼吸時に努力性の吸気(首を伸ばしてハアハアする)
📌 初期は軽い呼吸音の変化だけのこともあり、“老化”と見過ごされやすい病気です。
🩺 診断と検査
-
問診・視診・聴診:呼吸音、声の変化、体の動かし方などを確認
-
喉頭内の観察(麻酔下検査):喉頭の開き具合や動きを直接確認
-
X線・胸部エコー:肺・心臓の状態、他の病気との鑑別
-
血液検査:甲状腺機能、全身状態を評価
-
必要に応じて神経系の評価やCT検査
💊 治療方法
✅ 軽度・初期症状の場合
-
生活環境の見直し(暑さ・興奮を避ける)
-
肥満があれば減量
-
酸素吸入・抗炎症薬・気道拡張薬などで一時的に楽になることも
-
甲状腺機能低下症がある場合は補充治療で改善するケースも
✅ 中等度〜重度の場合:外科手術を検討します
-
もっともよく行われるのは「喉頭側方固定術(タイバック手術)」
→ 喉頭の片側を常に開いた状態に固定し、空気の通り道を確保します -
手術により呼吸が楽になり、元気に歩けるようになる子も多くいます
📌 手術後は誤嚥(食べ物が気道に入る)のリスクがやや増えるため、食事や飲水の管理が必要です。
🕰 予後と経過
状態 | 予後 |
---|---|
軽度・内科管理中 | 環境に注意すれば穏やかに過ごせる |
手術成功後 | 呼吸が安定し、生活の質(QOL)が大きく改善 |
未治療・進行例 | 熱中症・突然死・慢性呼吸不全のリスクあり |
🏠 ご家庭でのケア
-
暑さ・湿気・興奮を避ける(夏の散歩は要注意!)
-
首輪ではなくハーネスを使用(気管への圧迫を避ける)
-
食事はゆっくり食べられる工夫を(誤嚥防止)
-
呼吸数・呼吸音を毎日チェック
-
無理な運動は控えるが、筋力維持も重要
💬 まとめ
喉頭麻痺・喉頭虚脱は、「年を取ったから仕方ない」ではなく、治療によって呼吸が楽になり、生活が改善できる病気です。
「いびきが大きい」「声が変わった」「呼吸がしんどそう」
そんなサインがあれば、迷わずご相談ください。
📞 ご予約・お問い合わせはこちら
ネット予約 ▶︎ https://5.mfmb.jp/mobile/index.php?PHPSESSID=578pnba6ipr9e0ko5igj8dkt70&clinic_number=900991
電話 ▶︎ 055-972-6770