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整形外科

こんにちは!ガレン動物病院で整形外科を担当しております奈倉正典と申します。

 日本大学付属動物病院外科学研究室で整形外科を学びました。近年では小型犬の飼育頭数が増えており、骨折や前十字靭帯断裂の症例を多く診るようになりました。骨折は交通事故だけではなく、ソファやベッドから降りた時や、ジャンプして着地した時に折れてしまうケースが多く見受けられます。また、前十字靭帯断裂は小型犬に多い膝蓋骨脱臼(パテラ)から併発することが多いです。膝蓋骨脱臼を抱えていて、足の骨の変形がみられる場合は早期に膝蓋骨脱臼の手術を検討された方がいいかと思います。

整形外科は大学や動物病院で学ぶ機会の少ない科目です。私は整形外科に興味があったため、母校でもある日大付属動物病院の整形外科にお世話になり、勉強する機会を得ることができました。大学で得た知識と経験を、地元の皆様に還元できれば幸いです。お困りごとがありましたら、是非ご相談ください。

骨折

<手術料金>

入院目安 4泊5日

入院・手術料 約28万

*料金は体重、入院日数、骨折箇所で変動します。上記料金は体重10kgの小型犬の橈尺骨骨折の場合です。

わんちゃん、ねこちゃんの体には骨格という骨組みがあり、それによって体重を支えています。その骨に強い力が加わったり、骨自体が弱ってしまったり、弱い力が慢性的に加わることによって骨が損傷することを骨折といいます。また、完全に折れていなくても骨にヒビが入ったり、欠けてしまうのも骨折です。

 

<骨折の原因.

高所からの落下が原因としては多いです。特に小型犬はベッドやソファ、抱っこされている状態から飛び降りるだけで骨折してしまうケースもあり、また、ドアやケージに挟まれた、自分でジャンプした時の落下、ご家族が誤って踏んでしまうなど普通に生活をしている中でも起こりうるアクシデントが原因で骨折することもあります。また、骨にガンができて骨折する場合もあります。

 

<骨折の症状>

骨折した部位や骨折の状態によって症状は様々ですが、骨折した部分には痛みが生じるため骨折した箇所の肢を着かなくなったり、触られるのを嫌がります。また、骨折後数時間程度で骨折部分周辺に腫れがみられます。

 

<骨折の発生部位が多いのは?>

骨折の発生部位の約半数を占めているのが前足です。わんちゃんは前足から着地をするため、特に骨の細い小型犬は前足に大きな負荷がかかった時に、衝撃に耐えきれず骨折してしまうことがあります。

 

このような症状がみられたら骨折の疑いがあります!動物病院で診察を受けましょう。

  · 肢を地面に着けず、挙げたまま歩いている

  · 患部が腫れている

  · 患部を触ると熱い

  · 触ると痛がる

  · 元気がなく、動かない

 少しでも気になる症状がございましたらいつでも当院にご相談ください。

 

<骨折しやすい犬種と時期>

小型犬や四肢の細い犬に多いです。また、1歳未満の子犬に多く発生します。これは、成長途中のため骨が非常にもろく、ちょっとした衝撃で簡単に折れてしまうからです。好奇心が旺盛で活発に動くことも関係しています。

・トイプードル

・ポメラニアン

・イタリアン・グレーハウンド

・ミニチュアピンシャー

・ヨークシャーテリア

・チワワ         などが挙げられます。

 

<骨折の診断と検査方法>

  1.    触診

→痛みの場所を特定します。骨折の場合は骨折部周辺を注意深く診て、骨が皮膚を破って外に出ていないか確認します。

 2.               レントゲン検査

→骨折部位を特定します。また骨折の状態を確認し、どういった治療法が最適か判断します。

 

<骨折の治療方法>

骨折の程度や年齢、他疾患の有無などにより患者様にあった治療方法をご提案させていただきます。

骨折の治療は大きく分けて2種類ありますが、多くの場合は手術が必要になります。

 

・プレート固定

 LCPというプレートを用いて治療を行います。従来のプレートとは異なり、プレートが骨に直接触れる面積を減らすことで骨癒合を早め、治療後の骨痩せ(骨がプレートに頼ることで細くなってしまう現象)のリスクを減らすことができます。術後早期に歩けるようになり、自宅での管理も簡単なため、治療の第1選択肢となります。

 

・ピンニング固定

 骨折部位によっては細いピンを使って骨を固定します。すべての骨折に適用はできず、特に小型犬で多い橈尺骨骨折(前腕の骨折)には癒合不全の原因になるため、使用できません。ピンニングの後は、ギプス固定する場合が多いです。

 

・ギプス固定

 若木骨折などの不完全骨折、骨折手術をした後の補強、手術困難な箇所の骨折、手術日までの間の一時的な固定などに使用します。ギプス固定で治る骨折の種類は少なく、骨折治療のメインはプレート固定になります。

 

 

<愛犬の骨折を防ぐには?>

骨折は日常のちょっとしたアクシデントで起こってしまうことがありますが、日常生活の工夫次第で防ぐことができます。周りに危険がないか見直してみましょう。

 

・足が滑らないようにする

フローリングなどの滑りやすい床であれば滑り止めなどのマットを敷いてあげましょう。着地の失敗を防ぐこともできます。また、定期的に足裏の毛をカットし、滑らないようにしてあげることも大切です。

 

・高いところにのぼらせない、段差をつくる

ベッドやソファなど高いところにはのぼらせないようにしましょう。のぼってしまう場合はわんちゃん用の階段をつけてあげましょう。

 

・体重管理

肥満によって体が重くなってしまうと、少しの高さでもジャンプした際に骨折してしまうことがあります。適切な食事量を与え、体重管理を行いましょう。また、筋肉をつけるために適度な運動を行うことが大切です。

 

・抱っこの仕方

わんちゃんを抱き上げるときは両手で優しく包み込んであげましょう。また、抱き上げたときに暴れないよう普段から抱っこに慣れさせておくのも大切です。

 

骨折はわんちゃん、ねこちゃんに強い痛みとストレスを与えます。日常生活に危険が潜んでいないか、生活環境のチェックと改善をお願いします。

また、骨折は適切な治療を行うことがとても大事です。費用面などから橈尺骨骨折(前腕の骨折)にピンニング治療を選んだ結果、骨折が治らず骨が腐り、断脚するケースもあります。

 

お困りのことがありましたら、ご相談ください。

前十字靭帯断裂

<手術料金>

入院目安 4泊5日

入院・手術料 約28万

*料金は体重、入院日数で変動します。上記料金は体重10kgの小型犬の場合です。

前十字靭帯断裂(ぜんじゅうじじんたいだんれつ)とは、太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)を結びつける2本の十字靭帯のうち、前十字靭帯が切れてしまう病気です。

前十字靭帯は脛骨が大腿骨の前に飛び出さないよう制限する役割をしていますが、前十字靭帯が断裂してしまうことで膝関節が不安定になり、半月板や関節軟骨に損傷が起こり、歩行に異常がみられるようになります。

 

<前十字靭帯断裂の原因>

前十字靭帯断裂の発生には複数の原因が考えられます。

 

  1.    靭帯の変性

加齢や病気(副腎皮質機能亢進症などのホルモン疾患)により前十字靭帯の構造に変化が生じ、靭帯が弱くなっていきます。変性が進行していくと靭帯は十分な強度を維持できなくなり、普段の運動でも小さな損傷が蓄積していき、部分断裂や完全断裂を引き起こします。

 

 2.  小型犬の膝蓋骨内方脱臼(パテラ)

小型犬の膝蓋骨内方脱臼と前十字靭帯断裂の併発はよく経験する複合疾患です。膝蓋骨が内方脱臼することで、すねの骨(脛骨)が内側に捻じられることで前十字靭帯に張力がかかり、前十字靭帯が損傷します。

 

 3. 肥満

肥満の場合、適正体重の子達と比べて前十字靭帯断裂の発生リスクが上昇すると報告されています。

 

 4. 腫瘍

膝関節に発生する腫瘍により、前十字靭帯を含めた膝組織が破壊されることで発症します。腫瘍の初期段階の場合、前十字靭帯断裂の症状のみ見られ、腫瘍を見落とすことがあります。レントゲン以外の検査を組み合わせることで腫瘍が関係しているのか調べることができます。


 5.外傷によるもの

フリスビーやボール投げなどのスポーツを行うことで、非常に強いエネルギーが急激に膝関節に加わり前十字靭帯の損傷に繋がります。または交通事故により靭帯を損傷する場合もあります。

 

<前十字靭帯断裂の症状>

片側、あるいは両側後ろ足の跛行(びっこ)がよくみられます。しばらくすると症状が軽減することがありますが、様子を見てしまうと症状の悪化につながることがあるため、後ろ足を挙げて痛そうにしているときは早めのご来院をおすすめします。

 

このような症状がみられたら前十字靭帯断裂の疑いがあります!動物病院で診察を受けましょう。

 

□ 後ろ足を痛がる

□ 後ろ足を挙げて歩いている

□ 後ろ足を引きずる

□ 動きが鈍い

 

少しでも気になる症状がございましたらいつでも当院にご相談ください。

 

 

<好発犬種>

小型犬から大型犬まですべての犬種にみられる病気です。特に6歳以上の子に多くみられますが、1歳からの若い子に起こることもあります。また、体重の負担がかかりやすい大型犬に多いといわれています。

・ゴールデン・レトリーバー

・ラブラドール・レトリーバー

・バーニーズマウンテンドック

・柴犬

・ビーグル

・トイプードル

・ヨークシャーテリア などが挙げられます。

 

 

<前十字靭帯断裂の診断と検査方法>

①身体検査(歩行検査)

→歩行検査を行います。実際に歩いてもらい、歩き方や早足の時の様子を観察します。各足に体重が均等にかかっているか、動き始めの状態などが確認できます。

 

②触診(整形検査)

→膝関節に特定の方向から力をかけた時の脛骨の動く範囲を調べます。また、左右の後肢を比較し膝関節に腫れがないかをみます。

 

③レントゲン検査

→膝関節の評価を行います。前十字靭帯はレントゲンには映らないため、靭帯損傷による炎症の有無を調べます。また、術前計画や今後の治療方針を決定するためにレントゲン検査を行います。

 

④その他

必要に応じ、超音波検査や血液検査、細胞診検査などを加える場合があります。

 

 

<前十字靭帯の治療方法>

治療は基本的に2パターンにわけられます。膝関節の状態や年齢、他疾患の有無などにより、患者様に合った治療法をご提案させていただきます。

 

1.外科的治療

◎関節外法

人工材料を人工靭帯として用い、大腿骨と脛骨を安定化する方法の手術です。

 

TPLO(脛骨高平部水平化骨切り術)

脛骨の一部を切り、角度調整を行い、プレートで固定することで膝関節を安定化させる手術です。

関節外法より早く膝関節の機能改善が見られます。

 

術後は安静する必要があるため入院が必要になります。その間は点滴やペインコントロール(痛みの緩らげる治療)を行います。

退院後は保護包帯を着け、フローリングや階段を避けた軽い運動を行っていきます。



2.内科療法

内科療法は保存療法であり、根本的な問題を解決するものではありません。ですが、状態、年齢によっては内科療法を選択することもあります。

保存療法とは環境改善、生活改善、投薬により症状を抑えたり、骨関節炎の進行を抑制する治療方針です。

 

◎ケージレスト

ケージの中で安静にしてもらい、運動制限を行います。

 

◎投薬

痛みが強く出ている時は鎮痛剤などを使用して適度な運動ができるようにします。また、サプリメントの投与を行います。

 

◎環境改善

滑りやすいフローリングを避けたり、滑り止めマットなどを敷きます。また、段差や階段ののぼり降り、激しい運動を控えます。

 

◎体重管理

肥満にならないよう体重管理を行います。

 

◎リハビリテーションの実施

基本的には手術後に行います。断裂を起こした足とそうでない足での筋肉や重心のかけ方、歩き方に差が生じないように筋肉量を増やすためのトレーニングを行ったり、筋肉を動きやすくするためのマッサージを行います。

 

発症年齢や重症度、症状の程度、経過、体重、飼育環境など様々な事を考慮して治療方法を検討していきます。その子にあった治療方法を一緒に考えていきましょう。

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