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静岡県駿東郡清水町八幡61−1

腫瘍科

こんにちは!腫瘍科を担当しております奈倉正典です。

動物の高齢化に伴い、がんを診る機会が非常に増えています。健康診断を受けていただく機会が増えたため症状がなくても、がんを発見する機会が多いです。私が獣医師になりたての頃は一般診療を中心に診療していましたが、がんの治療をする機会が増えたため、より高度ながん治療を学びたいを思い、日本獣医がん学会に入会し勉強しました。認定医も取ったのですが、それでもまだ足りないと思い、整形外科を学ぶ傍ら日本大学付属動物病院で腫瘍科も勉強させていただきました。大学病院で学んできたことを、がんで苦しむ子達の手助けになれれば幸いです。がんの治療でお困りのことがありましたら、何なりとご相談ください。

診療の手順

1.診察

症状の経過についての問診や全身の身体検査、できものの状態を観察します。

 

2.検査

まず、そのしこりが治療すべきものかどうかを見極める細胞診検査を行い、腫瘍が疑われる場合には追加で必要な検査を行います。

 

●細胞診検査

細い針をしこりの中に刺して細胞の一部を採取し、顕微鏡で観察します。麻酔が必要ない検査のため、患者様にとってより負担の少ない検査になります。

ただし細胞が採取できず院内で診断がつかない場合は、しこりの一部を採取して専門家にみてもらう組織生検(外部検査)が必要になる場合があります。

 

●組織生検

細胞診では判断が難しい腫瘍に対して行います。病変部の細胞を一部採取して調べる検査で、バイオプシーともいいます。検査は、専用の太い針をしこりに刺して組織を採取する方法、専用の器具を用いて主に皮膚などから円盤状に組織を採取する方法、手術により病変部の組織の一部を切除する方法などがあります。局所麻酔や全身麻酔の処置が必要ですが、より高い精度で腫瘍の様々な情報を得ることが可能です。

 

 

<追加で行う検査>

●血液検査

貧血の有無、内臓の状態などを調べます。

 

●レントゲン検査

胸やお腹、骨など見た目ではわからないような部位にある腫瘍を探すために用います。細かい情報を得ることは難しいですが、麻酔が必要ない検査のため、患者様に大きな負担を負わせることなく検査を行うことができます。

 

●超音波検査

レントゲンと同様に見た目ではわからないような部位にある腫瘍を探すために用います。レントゲン検査よりも距離や大きさなどの情報を得られます。また、麻酔が必要ない検査のため、患者様に大きな負担を負わせることなく検査を行うことができます。

 

●CT検査

X線を用いて体のいろいろな方向からの断面像を確認でき、腫瘍の発生場所や手術計画のための情報を得ることができます。全身麻酔が必要な検査です。

CT検査をご希望の場合はCT設備を備えた施設をご紹介します。

 

3.治療

がんの治療には様々な方法がありますが、それぞれのメリット・デメリットをよくご説明させていただいたうえで、ご家族様とご相談し治療方針を決定していきます。

 

以下の治療を単独、または組み合わせて行います。

 

●外科手術

手術により腫瘍を切除します。多くの腫瘍で最も効果的な治療法です。

外科手術は腫瘍の完全切除で根治を期待できます。また、完全切除が難しく根治ができない場合でも状態の緩和を目的とした手術を行うこともあります。

 

手術で摘出したものは病理検査に送り、悪性度、病気の進行状況、転移や再発の可能性の有無など情報を得ることで手術後の治療方針をたてていきます。

 

●化学療法(抗がん剤治療)

リンパ腫や白血病など、腫瘍細胞が全身に拡がって存在している場合に抗がん剤を投与することで、腫瘍細胞を破壊し、腫瘍細胞の増殖を抑制する治療法です。また、手術後の再発や転移を防ぐために使用する場合もあります。

ただし、抗がん剤は腫瘍細胞だけでなく、正常な細胞にもダメージを与えてしまうため副作用が生じる場合があります。そのため、当院では抗がん剤治療を行う際に副作用の可能性についてしっかりご説明させていただき、血液検査など一般状態を確認したうえで治療を開始します。また、投与後の状態も注意深くみていきます。

 

当院では以下の抗がん剤を使用しています。

<点滴で投与するもの>

・ビンクリスチン

・ビンブラスチン

・シクロフォスファミド

・ドキソルビシン

・シスプラチン

・カルボプラチン

・L-アスパラキナーゼ

・ニムスチン

・メルファラン

・ヒドロキシカルバミド

など、他にも様々な抗がん剤を組み合わせて治療を行います。

 

<内服で投与するもの>

分子的標的薬という新しいタイプの抗がん剤です。従来の抗がん剤は正常な細胞に対しても攻撃してしまうのに対し、分子的標的薬は腫瘍細胞のみに働きかけるため、正常細胞へのダメージが軽減できることから副作用が軽度といわれています。また、内服薬のため飼い主様に飲ませていただくことができます。

 

・イマチニブ

・パラディア

 

これらの抗がん剤を単独または組み合わせて使用します。

 

●放射線治療

腫瘍に放射線をあてて腫瘍細胞にダメージを与える治療法で、手術による摘出が難しい場合に有効です。当院には設備がないため、実施する場合は大学病院へご紹介します。

 

  ●対症療法

外科手術や抗がん剤治療などを行えない場合、消炎鎮痛剤を用いた痛みの軽減や点滴による脱水の改善を行います。

 

  4.再診

  治療後の経過や再発がないかなどを確認するため、定期的に診察を行います。

 

当院では腫瘍科認定医が在籍しており、専門的な知識や経験をもとに患者様にとって最良な治療をご提案します。セカンドオピニオンを受けられる患者様も多くご来院されていますので、腫瘍治療でお困りの場合や、できものなど少しでも気になる症状がある場合はいつでも当院にご相談ください。

乳腺腫瘍

乳腺に腫瘍ができる病気で、犬の腫瘍の約半数、猫では三番目に多い腫瘍と言われています。

 

<犬の乳腺腫瘍の特徴>

ほとんどが中~高齢の避妊手術をしていない雌犬に発生しますが、稀に雄犬にもみられます。犬の乳腺腫瘍の良性と悪性(乳がん)の比率は半々と言われていましだが、近年では良性の方が多いと報告されています。良性であれば転移はしませんが、悪性の乳腺腫瘍は肺やリンパ節、腎臓、脾臓、肝臓などに転移を起こし、命に関わる場合もあるため、良性か悪性か診断する必要があります。ですが、良性と診断されても時間が経つと悪性転化(良性腫瘍から悪性腫瘍に変化すること)することがあるため、無治療でいることはお勧めできません。

見た目はイボやしこりのように数ミリサイズの小さいものから数センチサイズのものまで様々です。基本的には大きな乳腺腫瘍ほど悪性の可能性が高いです。

 

<猫の乳腺腫瘍の特徴>

ほとんどが高齢の避妊手術をしていない雌猫に発生しますが、稀に雄猫にもみられます。猫の乳腺腫瘍は約80%~90%が悪性で、発見時にはすでに転移していることも少なくありません。犬の乳腺腫瘍に比べ、予後が悪い腫瘍です。

見た目はイボやしこりのように数ミリサイズの小さいものから数センチサイズのものまで様々です。

 

<乳腺腫瘍の原因>

乳腺腫瘍は雌性ホルモンの影響を受けて発生します。わんちゃんの場合は初めての発情がくる前に避妊手術を行うことで乳腺腫瘍になる確率が低くなりますが、時間の経過とともに予防効果は低下し、4歳以降の避妊手術では予防効果がほとんどないと言われています。ねこちゃんは避妊手術をすると乳腺腫瘍の発生率が下がり、特に1歳未満で効果的です。

早めに避妊手術を行うことは乳腺腫瘍以外にも子宮や卵巣の様々な病気のリスクを減らすことが出来るため、手術をお考えの場合は早期の避妊手術をおすすめします。

 

<好発品種>

すべての犬種に発生の可能性がありますが、特に発症しやすいと言われている犬種です。

・プードル

・チワワ

・コッカースパニエル

・ヨークシャーテリア

・ダックスフンド など

 

好発品種(猫)

・シャム

・日本猫 など

 

<乳腺腫瘍の症状>

乳腺組織にしこりができます。胸や脇の下、下腹部、内股までの乳腺に1つあるいは複数個できる場合があり、悪性腫瘍の場合は腫瘍の増殖とともに皮膚が破け出血や壊死が起きることもあります。

 

このような症状がみられたら乳腺腫瘍の疑いがあります!動物病院で診察を受けましょう。

□ 乳腺にしこりがある

□ 乳頭が赤く腫れている

□ 乳頭から黄色っぽい液体が出る

□ 元気がない

□ 食欲がない

□ 体重減少

 

悪性の乳腺腫瘍であれば診察時にすでに転移していることも少なくありません。

肺転移が起きている場合は胸の中に水がたまったり、呼吸が荒くなる症状などの症状も出ますので、早期発見が非常に大切です。

 

<乳腺腫瘍の検査と診断>

①細胞診検査(針生検)

できものができたときに最初に行う基本的な検査です。細い針をしこりの中に刺して、細胞の一部を採取し、顕微鏡で観察します。ただし乳腺腫瘍と診断できても、良性か悪性かはわからないため、最終的な診断は検査用に乳腺腫瘍を少し切り取る、あるいは外科手術で切除したものを病理組織検査(外部検査)に送ることで確定診断ができます。

 

②血液検査

貧血がないか、内臓の状態などを調べます。

 

③レントゲン検査

胸やお腹に腫瘍、転移、他の病気がないかを調べます。

 

④超音波検査

胸やお腹に腫瘍、転移、他の病気がないかを調べます。

 

<乳腺腫瘍の治療>

①外科治療(手術)

最も効果的な治療方法です。乳腺腫瘍の手術方法はしこりのみ切除する方法、乳腺を部分的に切除する方法、片側の乳腺をすべて切除する方法、両側すべての乳腺を切除する方法など様々なので、腫瘍の特徴をしっかりご説明させていただいたうえで、ご相談しながら手術方法を決めていきます。再発防止のためにもできるだけ広範囲の切除をおすすめしています。

 

②抗がん剤治療

手術が難しい場合や、術後の再発を防ぐ目的で使用する場合があります。

当院では点滴・内服などによる抗がん剤治療を行っています。

 

*悪性乳腺腫瘍の中には「炎症性乳癌」と呼ばれる極めて悪性度が高く、予後不良の腫瘍が発生することがあります。炎症性乳癌の場合基本的に手術は不適応となります。治療の中心は鎮痛剤や消炎剤を用いた緩和療法となり、生活の質をできるだけ維持することを目的とした治療を行っていきます。最近では分子標的阻害薬という比較的副作用の少ない飲み薬の抗がん剤が有効との報告もあり、治療に使用しています。

 

 

腫瘍は早期発見が非常に大切です。普段からわんちゃん、ねこちゃんの身体を触ることで早めにしこりの存在に気づくこともあります。また、乳腺腫瘍は若齢時の避妊手術により発生率を下げることができるため、手術をお考えの場合や少しでも気になる事がある場合はお早めにご相談下さい。

リンパ腫

血液のがんのひとつです。白血球の一つであり、免疫システムの中で重要な役割を果たすリンパ球が腫瘍(がん)化して起こります。

中高齢の子に発生しやすく、犬では3番目に多い腫瘍です。全身の至るところに発生し、発生部位により様々な症状が生じます。初期の段階では無症状なことが多いため、発見が遅れてしまうこともあります。

 

リンパ腫は大きく分けて3つの分類に分けられます。

①発生部位による分類

②悪性度による分類

③免疫学的分類

 

①発生部位による分類

●多中心型リンパ腫

身体の中にはたくさんのリンパ節がありますが、多中心型リンパ腫は主に顎の下(下顎リンパ節)、首(浅頸リンパ節)、脇の下(腋窩リンパ節)、膝の裏(膝下リンパ節)など身体の表面にあるリンパ節が腫れていきます。体重減少や元気、食欲の低下、熱などの症状が出ることもありますが、症状を伴わないこともあります。犬に最も多いリンパ腫です。

 

●消化器型リンパ腫

消化器型リンパ腫は胃や小腸、大腸に発生します。そのため元気、食欲低下による体重減少、嘔吐、下痢がみられます。猫に最も多いリンパ腫です。

 

●前縦隔型リンパ腫

前縦隔型リンパ腫は胸のリンパ節に発生し、呼吸が苦しくなったり、咳などの症状が出ます。また、胸の中に水が溜まってしまうこともあります。若い猫で多いリンパ腫です。

 

●皮膚型リンパ腫

皮膚に発生するリンパ腫で、皮膚の赤みやただれ、脱毛、フケがでるなど皮膚炎と似た症状がみられますが、発生は稀です。口内炎のように口腔内の粘膜に症状が出ることもあります。

 

●鼻腔内型リンパ腫

鼻の中にできるリンパ腫です。鼻水や鼻血、くしゃみなどの症状がみられ、顔が変形することもあります。

 

②悪性度による分類

リンパ腫は悪性度により、低悪性度、中間悪性度、高悪性度の3つに分類されます。

悪性度により抗がん剤の種類や余命が変わってきます。

 

③免疫学的分類

リンパ球はB細胞とT細胞の2種類に分けられます。

B細胞型、T細胞型では治療方法、余命に違いがあるため、どちらのタイプなのか診断する必要があります。

 

 

<リンパ腫の原因>

明確な原因は不明ですが、ねこちゃんの場合は猫白血病ウイルス(Felv)感染により、リンパ腫の発生確率が上がります。また、若齢でリンパ腫のねこちゃんは多くが猫白血病ウイルスに感染していると言われています。

 

 

<リンパ腫の症状>

多くのリンパ腫でリンパ節の腫れが認められます。他症状は発生部位により様々ですが、どのリンパ腫も病気が進行すると元気、食欲の低下や体重減少などがみられます。

 

このような症状がみられたらリンパ腫の疑いがありますので、診察をおすすめします。

□ 元気低下

□ 食欲不振

□ 体重減少

□ 嘔吐

□ 下痢

□ 発熱

□ 呼吸が荒い

□ 咳が出る

 

初期段階では無症状なことが多く、診察時や健康診断で発見されるケースが多いため、気になることがあれば早期に検査されることをおすすめしています。



<リンパ腫の検査と診断>

①細胞診検査(針生検)

細い針をしこりの中に刺して細胞の一部を採取し、顕微鏡で観察します。ただし院内で診断がつかない場合は、細胞診や全身麻酔下でリンパ節を切除して専門家にみてもらう病理組織検査(外部検査)が必要になる事があります。

 

②血液検査

貧血の有無、内臓の状態などを調べます。

 

③レントゲン検査

胸やお腹に腫瘍、転移、他の病気がないかを調べます。

 

④超音波検査

胸やお腹に腫瘍、転移、他の病気がないかを調べます。

 

 

<リンパ腫の治療>

①化学療法

リンパ腫は血液に関連したがんなので、抗がん剤やステロイドを投与する化学療法が非常に効果的です。

残念ながら無治療の場合は余命12か月と言われていますが、治療を行うことにより、多中心型リンパ腫であれば約半数の子が1年以上、約20%の子は2年以上生きられることもあります。

抗がん剤は状態によって1種類だけを使う場合もありますし、複数の抗がん剤を組み合わせた多剤併用療法を行うケースもあります。

 

②外科治療(手術)

症状の緩和を目的として外科手術を行うことがあります。

 

③放射線療法

腫瘍に放射線をあてて腫瘍細胞にダメージを与えます。実施する場合は大学病院へご紹介します。

 

 

リンパ腫は発生部位や悪性度など細かく分類されていて、そのタイプにより治療方法や治療に対する反応も異なってきます。治療、手術には副作用などデメリットを伴う場合がありますので、ご家族としっかりご相談させていただき、最適な治療をご提案致します。

肥満細胞腫

肥満細胞腫は大量のヒスタミンやヘパリンを持っている肥満細胞が腫瘍(がん)化する病気で、わんちゃんの皮膚にできる悪性腫瘍の中では最も多く、ねこちゃんの皮膚にできる腫瘍としては2番目に多いといわれています。病名に「肥満」とありますが、体型の「肥満」とは全く関連はありません。

 

<犬の肥満細胞腫の特徴>

わんちゃんの肥満細胞腫はからだのあらゆる場所に発生する可能性がありますが、特に皮膚に発生することが多く、色々な形をとるため、見た目から肥満細胞腫と診断することはできません。

肥満細胞腫は悪性度により3つのグレードに分けられます(Patnaik分類といいます)。

グレード1

最も悪性度が低い肥満細胞腫です。

転移や再発を起こしにくいため、手術での完治が見込めます。

グレード2

悪性度は中程度の肥満細胞腫で、時々転移や再発を起こします。手術で完治することもあれば、ほかの治療を組み合わせても再発や転移が進行する場合もあります。手術では肉眼的なかたまりだけではなく、広い範囲の周囲組織まで切除することが重要です。

グレード3

最も悪性度が高い腫瘍で、成長が早く、急速に進行します。診断時には他の臓器に転移していることが多く、再発も非常に起こりやすいため、手術と抗がん剤治療などを組み合わせて行っても完治が難しいグレードです。

 

猫の肥満細胞腫の特徴

ねこちゃんの肥満細胞腫は皮膚に発生する「皮膚型肥満細胞腫」と脾臓、肝臓、腸など内臓に発生する「内蔵型肥満細胞腫」に分けられます。皮膚型は比較的悪性度が低いですが、内蔵型の場合、悪性度が高く転移しやすいと言われています。

 

 

<肥満細胞腫の原因>

発症の原因ははっきりとわかっていませんが、中~高齢での発症が多いといわれています。

 

 

<好発品種>

・ボクサー

・パグ

・ラブラドールレトリーバー

・ボストンテリア

・ビーグル

・シュナウザー など

 

好発品種(猫)

・シャム  など

 

 

<肥満細胞腫の症状>

皮膚にできる肥満細胞腫はイボのようなもの、脂肪の塊のようなもの、柔らかいもの、固いものなど形状が様々です。無症状なこともありますが、肥満細胞はヒスタミンやヘパリンなどの生理活性物質を細胞内に含んでいるため、これらが放出されて消化管潰瘍が起きると食欲不振、嘔吐、血便など強い症状を引き起こす場合もあります。

 

このような症状がみられたら肥満細胞腫の可能性がありますので、診察をおすすめします。

□ 皮膚にしこりがある

□ しこりを触ったら急激に大きくなった、周囲が赤くなった

□ 食欲不振

□ 嘔吐

□ 下痢・血便

 

肥満細胞腫は悪性腫瘍に分類されるため、命に関わる場合があります。悪性度が高いものを除いては、早期治療で根治できる可能性があるため、早期発見・早期治療がとても大切です。

 

 

<肥満細胞腫の検査と診断>

①細胞診検査(針生検)

皮膚にできものができたときに最初に行う基本的な検査です。細い針をしこりの中に刺して、細胞の一部を採取し、顕微鏡で観察します。ただし院内で診断がつかない場合は、しこりの一部を採取して専門家にみてもらう病理組織検査(外部検査)が必要になる事があります。

 

②血液検査

貧血の有無、内臓の状態などを調べます。

 

③レントゲン検査

胸やお腹に腫瘍、転移、他の病気がないかを調べます。

 

④超音波検査

胸やお腹に腫瘍、転移、他の病気がないかを調べます。

 

 

<肥満細胞腫の治療>

①外科治療(手術)

最も重要な治療方法です。肥満細胞腫は見た目で小さく見えても周囲に広がっていることが多く、正常に見える部分にも腫瘍細胞が広がっている可能性があるため、しこり周囲の皮膚まで広い範囲の摘出を行います。

手術で摘出したものは病理組織検査に送り、腫瘍細胞が取り切れているか、悪性度の評価を行います。

 

②抗がん剤治療

当院では点滴・内服などによる抗がん剤治療を行っています。

抗がん剤を使用して腫瘍細胞にダメージを与えます。手術でとりきれなかった場合や悪性度が高く、再発の可能性がある場合に手術と併用して行うこともあります。

現在では分子標的阻害薬という飲み薬の抗がん剤があります。従来の抗がん剤治療に比べ副作用が少なく、通院回数も減らすことができるため、当院ではおすすめしています。

③放射線治療

腫瘍に放射線をあてて腫瘍細胞にダメージを与えます。実施する場合は大学病院へご紹介します。

 

 

肥満細胞腫は形状が様々であるため、見た目では判断できません。数か月~数年大きさに変化がなくても調べてみたら肥満細胞腫だったということも珍しくありません。腫瘍は早期発見・早期治療が非常に重要になってきますので、できものや皮膚の赤みなど、気になる症状がある場合は当院にご相談ください。

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