腫瘍
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2025/01/13
下垂体腫瘍
🐾「最近、水をすごく飲む・お腹が出てきた…」
下垂体腫瘍(かすいたいしゅよう)について
こんにちは、ガレン動物病院です。
「お水をたくさん飲むようになった」
「お腹がポッコリしてきた」
「なんとなく性格が変わった気がする」
そんな変化が見られたときに、ホルモンの司令塔である“下垂体”の腫瘍が隠れていることがあります。
🧠 下垂体とは?
下垂体は、脳の奥にある小さな器官で、体中のホルモンバランスを調整する“ホルモンの司令塔”です。
この部分に腫瘍ができると、以下のようなホルモン異常や神経症状が出る可能性があります。
🐶🐱 よくある下垂体腫瘍のタイプと影響
種類 | ホルモン | 症状例 |
---|---|---|
ACTH産生腫瘍(犬に多い) | 副腎皮質刺激ホルモン | → クッシング症候群(多飲多尿、お腹ぽっこり、脱毛など) |
成長ホルモン産生腫瘍(猫に多い) | 成長ホルモン(GH) | → 先端巨大症(顔・足の肥大、糖尿病) |
非機能性腫瘍 | ホルモンを出さない | → 脳圧上昇に伴う神経症状(性格変化、ふらつきなど) |
📌 よく見られる症状
犬で多い症状(クッシング症候群)
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水をたくさん飲む・おしっこが増える
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食欲が異常にある
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お腹がふくらんできた
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左右対称の脱毛
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皮膚が薄くなり、傷が治りにくい
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舌を出してハァハァしやすくなる(パンティング)
猫で多い症状(先端巨大症)
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顔が大きくなってきた
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下あごや足が太くなった
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進行性の糖尿病(インスリンが効きづらい)
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歯肉の盛り上がり、いびきなど
📌 症状は少しずつ進行するため、「老化」と勘違いされることも多くあります。
🩺 診断と検査
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血液検査・ホルモン検査:ACTH、コルチゾール、IGF-1(成長ホルモンの代謝産物)などを測定
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脳のMRI検査・CT検査:下垂体腫瘍の有無やサイズを確認
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腹部超音波・レントゲン検査:二次的な臓器への影響(肝肥大・副腎腫大など)
💊 治療方法
✅ 内科治療
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ACTH産生腫瘍(クッシング):副腎を抑制する薬(例:トリロスタン=ベトリール®)でコントロール
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先端巨大症(猫):インスリンによる糖尿病管理、GH分泌抑制薬(入手困難な場合もあり)
✅ 放射線治療
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腫瘍の大きさや神経症状がある場合に有効
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下垂体腺腫に対して効果が報告されており、QOLを改善できる可能性あり
✅ 外科手術(非常に専門性が高い)
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下垂体摘出術(下垂体除去)は国内外の限られた施設でのみ実施されています
🕰 予後(生存期間)
治療方法 | 目安 |
---|---|
内科治療のみ | 6ヶ月〜数年。QOL重視の管理が可能 |
放射線治療あり | 1〜2年以上生存する例も多い |
無治療/進行時 | 症状が進行すればQOLが著しく低下する可能性 |
💬 まとめ
下垂体腫瘍は見た目ではわかりにくく、「なんとなく元気がない」「太った?痩せた?」の奥に隠れていることが多い病気です。
でも、早期発見と適切な治療で、生活の質を保ちながら過ごすことが可能です。
「ちょっとした変化」が続くときは、どうぞ遠慮なくご相談ください。
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