

🐾犬の乳び胸(にゅうびきょう)とは?
〜胸にたまった白く濁った液体、その正体は…〜
ある日、呼吸が浅くて苦しそうな様子で来院したわんちゃん。
レントゲン検査で胸に大量の液体が確認され、すぐに**胸腔穿刺(きょうくうせんし)**を行いました。
📸 上の写真は採取した胸水です
乳白色に濁った液体が中型犬の子で1リットルのカップがいっぱいになるほど溜まっていました。
この状態を「乳び胸(にゅうびきょう)」と呼びます。
🧠 乳び胸とは?
乳び胸とは、胸腔(きょうくう)=肺の周囲に「乳び(にゅうび)」と呼ばれるリンパ液がたまる状態です。
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乳びは、脂肪分を多く含んだ白く濁ったリンパ液
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本来は腸から静脈へ流れるはずのリンパ液が、何らかの原因で漏れて胸腔にたまってしまう病態です
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犬・猫ともに見られますが、特に若い中型〜大型犬に多い傾向があります
🐶 よくある症状
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呼吸が浅くなる/速くなる
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息が苦しそう(腹式呼吸・胸が大きく動く)
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元気がない・動きたがらない
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食欲の低下
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寝ると苦しくなるため、座ったままの姿勢をとることが多い
📌 多くの子が「咳が出る」よりも呼吸の違和感や苦しさが目立ちます。
🔍 原因は?
乳び胸にはさまざまな原因が考えられます:
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特発性(原因不明)※最も多い
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心疾患(特に右心不全)
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胸管の損傷(事故・手術など)
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腫瘍(リンパ腫など)による圧迫
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肺・胸部の感染・炎症
📌 かなりの割合で**「特発性=はっきりした原因が分からない」**ケースが存在します。
🩺 診断方法
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レントゲン検査(肺の陰影、液体の貯留)
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胸腔穿刺による胸水の採取・性状確認
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胸水の性状(乳白色、TG濃度の上昇など)で乳びと判断
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エコー検査やCTで詳細な構造評価
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血液検査で併発疾患の確認
📌 乳びかどうかを判断するには、胸水中の中性脂肪(トリグリセリド)濃度の測定が重要です。
💊 治療方法
✅ 1. 胸水の排出(胸腔穿刺)
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呼吸が苦しそうな場合は、溜まった乳びを抜いて呼吸を楽にします
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繰り返し胸水がたまる子には定期的な穿刺やチューブ設置が必要になることも
✅ 2. 内科的治療
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脂肪制限の食事療法(低脂肪・高蛋白)
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胸管の圧力を下げるための薬物療法(ルチンや利尿薬など)
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ステロイドや抗炎症薬を使用することもあります
✅ 3. 外科的治療(重度例・再発例)
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胸管結紮術(きょうかんけっさつじゅつ)
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**心膜切除術(しんまくせつじょじゅつ)**と併用することで、乳びの再吸収を助けます
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難治例では、専門施設での手術が選択されることもあります
✅ まとめ
乳び胸は、命に関わる可能性もある胸腔疾患です。
ただし、早期に診断・対応すれば、呼吸の苦しさを改善し、体調の回復も期待できます。
「なんだか呼吸が変」「苦しそうにしている」などの症状に気づいたら、
なるべく早く受診し、必要な検査を受けましょう。
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