
🐶 犬の胆泥症とは?~エコーで見つかる胆嚢の変化~
近年、健康診断の超音波検査(エコー)で**「胆泥(たんでい)」**が見つかるケースが増えています。
「うちの子も胆泥って言われたけど大丈夫?」と不安になる飼い主さまも多いのではないでしょうか?
今回は、実際の胆泥症の超音波画像とともに、症状・診断・治療・予防のポイントをご紹介します。
📸 胆泥症の超音波画像(エコー)
上の画像は、胆泥が確認された犬の胆嚢のエコー写真です。
中央の黒い楕円形が胆嚢(たんのう)です。
通常、胆嚢の内部は胆汁(液体)のため、黒く均一に抜けて見えるのが正常です。
しかしこの画像では、内部に灰白色〜中間濃度のエコー(白っぽい影)が見られ、胆汁がドロドロと濃縮・沈殿している状態=胆泥になっていることがわかります。
🔍 胆泥症とは?
**胆泥症(たんでいしょう)**とは、胆嚢内に胆汁が停滞・濃縮し、泥状の物質(胆泥)がたまっている状態をいいます。
本来、胆汁は肝臓で作られ、脂肪の消化に関わる消化液として働きます。
しかし何らかの原因で胆汁が濃縮したり、流れが滞ると、泥状になって胆嚢にたまりやすくなります。
胆泥自体は「病気の前段階」として見つかることも多く、無症状で経過観察になるケースもありますが、放置すると胆嚢炎や胆嚢破裂のリスクにつながることもあるため注意が必要です。
🩺 よくある症状
胆泥症は無症状のことも多いですが、進行すると以下のような症状が見られることがあります:
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食欲不振・ムカムカ・吐き気
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元気がない・寝てばかりいる
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黄色い嘔吐や下痢
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お腹を痛がるそぶり(丸まる、触ると怒る)
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黄疸(目や皮膚が黄色っぽくなる)
🧬 胆泥がたまる原因は?
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加齢による代謝低下
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肥満や高脂血症
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食事の影響(高脂肪食など)
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ホルモン異常(甲状腺や副腎)
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運動不足や胆嚢の運動性低下
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胆嚢の構造異常や炎症
多くは複数の要因が重なって発生します。
🧪 診断と検査方法
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腹部超音波検査(エコー):胆泥の有無・胆嚢の壁の厚さや形状を評価
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血液検査:肝臓や胆道に関係する数値(ALT、ALP、γ-GTP、総ビリルビンなど)を確認
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場合によりCT検査や胆嚢摘出を検討
💊 治療法について
胆泥の程度や症状の有無により、治療方針は異なります。
🟢 無症状・軽度の場合
→ 経過観察+食事管理・運動・定期検査
🟡 中等度・軽い症状あり
→ 胆汁の流れをよくする薬(ウルソ)や肝機能改善剤の内服
🔴 症状が強い・胆嚢炎・胆嚢粘液嚢腫の兆候あり
→ 外科的摘出(胆嚢摘出術)を検討する場合もあります
🐾 胆泥症の予防と日常ケア
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🥣 適切な体重管理と食事の見直し(低脂肪・高品質フード)
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🚶♀️ 定期的な運動と生活習慣の改善
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💉 定期的な血液・エコー検査で早期発見を
🏥 まとめ
胆泥症は、超音波検査で早期に見つけられることが多く、早期発見・継続的なケアによって、健康を保つことが可能な病態です。
「高齢になってきた」「なんとなく元気がない」「吐くことが増えた」など、気になる症状があれば、ぜひ早めの検査をおすすめします。
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