
【猫の肥大型心筋症(HCM)とは?】
〜元気そうに見えても隠れて進行する「心臓の病気」〜
「最近なんとなく元気がない気がする」
「呼吸が早いような…?」
「いつも通りに見えるけど年に一度の健康診断で“心臓が大きいかも”と言われた」
そんなとき、疑われることがあるのが、**猫の肥大型心筋症(HCM:Hypertrophic Cardiomyopathy)**です。
🫀 肥大型心筋症とは?
肥大型心筋症とは、心臓の筋肉(心筋)が異常に厚くなる病気です。
厚くなった心筋は柔軟性が失われ、血液をうまく送り出せなくなったり、心臓内の血流が滞って血栓ができたりします。
この病気は特に猫に多く見られる心臓病で、症状が出るころには進行していることも多いです。
📸 レントゲンで見る肥大型心筋症
以下の2枚のレントゲン写真は、当院で撮影した猫の胸部レントゲンです。
🖼️ 左:正常な猫の胸部レントゲン。
🖼️ 右:心陰影(しんいんえい)が拡大し、胸腔内の心臓のシルエットが丸く大きくなっているのがわかります。心臓の大きさ・形に明らかな違いがあります。
肥大型心筋症では、心臓の左心室壁や中隔が厚くなるため、レントゲンでも心臓の輪郭が丸く、前後に大きくなるように見えます。
😿 肥大型心筋症の症状とは?
初期は無症状のことも多いですが、進行すると以下のような症状が現れます。
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呼吸が浅く・早くなる(胸でハッハッと動く)
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食欲不振、元気がない
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体を触られるのを嫌がる
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後ろ足が動かなくなる(血栓による麻痺)
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急に倒れる、失神、突然死
特に怖いのは**「血栓塞栓症」や「心不全」**といった合併症です。
🩺 検査と診断
肥大型心筋症の診断には以下の検査を組み合わせて行います:
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🔍 聴診(心雑音・不整脈の確認)
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🩻 レントゲン検査(心拡大の有無)
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💓 心エコー検査(心臓の厚み・動き・弁の状態)
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💉 血液検査(NT-proBNPなど心臓バイオマーカー)
エコー検査では心室壁の厚みをmm単位で評価し、早期でも異常を捉えることが可能です。
💊 治療と管理について
残念ながら、肥大型心筋症を根本的に治す治療法は現在ありません。
しかし、早期発見と内服薬による管理で進行を遅らせることが可能です。
治療の一例:
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心拍数を整えるお薬(βブロッカーなど)
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血栓予防薬(抗血小板薬)
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利尿剤(肺水腫や胸水がある場合)
症状や進行度に応じて治療内容を調整していきます。
🐾 早期発見のためにできること
肥大型心筋症は初期には症状が出ないことが多いため、
・7歳以上のシニア猫
・心雑音を指摘された猫
・ラグドール、メインクーン、スコティッシュなど好発品種
には年1回以上の心臓検査をおすすめしています。
💬 「うちの子、元気だけど…」その油断が命取りに?
猫の心臓病は「元気がない」「食欲が落ちた」など一見あいまいなサインから始まります。
だからこそ、「元気そうだから大丈夫」と思わず、検査による安心を得ることが大切です。
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