
🦴 犬の大腿骨頭壊死症(レッグ・カルベ・ペルテス病)とは?
📸 画像の解説
上のレントゲン写真は、犬の骨盤と股関節を写したもので、青い矢印の部分が大腿骨頭です。
正常では丸く滑らかな形をしていますが、この症例では骨頭が不整形になり、骨密度の低下や変形が見られます。これは大腿骨頭壊死症の特徴的な所見です。
🐾 大腿骨頭壊死症とは?
大腿骨頭壊死症(Legg-Calvé-Perthes病)は、大腿骨の先端(骨頭)への血流が不足し、骨組織が壊死してしまう病気です。
壊死した骨は脆くなり、徐々に潰れたり変形し、股関節の可動が制限されます。
特にトイ・プードル、ヨークシャー・テリア、ポメラニアン、チワワなどの小型犬に多く、発症年齢は生後5〜12か月齢が多いです。
🔍 主な原因
正確な原因は解明されていませんが、以下が関与していると考えられています。
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発育期における血流障害
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遺伝的要因
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股関節の構造異常
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外傷による血管損傷
⚠️ 症状
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後肢の跛行(びっこを引く)
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股関節の動きが悪くなる
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運動やジャンプを嫌がる
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患肢の筋肉が痩せてくる
症状は徐々に進行し、放置すると関節炎や慢性の痛みを伴うことがあります。
🩺 診断
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レントゲン検査が基本
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初期では骨密度の低下として現れ、進行すると骨頭の扁平化や変形が明瞭になります。
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場合によってはCT検査で詳細評価を行うこともあります。
💊 治療
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軽症例:運動制限・鎮痛剤・リハビリ
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中〜重症例:大腿骨頭頚部切除術(FNHO)
壊死した骨頭を切除し、人工的な関節を形成して痛みを軽減します。
小型犬では術後の回復が早く、生活の質を維持できることが多いです。
🐕🦺 予後と注意点
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手術を行えば、多くの場合は痛みがなくなり元気に歩けるようになります。
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術後はリハビリ運動(可動域訓練、水中トレッドミルなど)が重要です。
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遺伝的要因が疑われる場合、繁殖は避けることが推奨されます。
📅 早期発見がカギ
「若い小型犬が片足をかばっている」ときは、大腿骨頭壊死症の可能性もあります。
気になる症状があれば、早めに動物病院での検査をおすすめします。